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10年目のクールブレイカー

 先日、パシフィコ横浜で開催されたカスタムショー、「クールブレイカー」の模様を撮影した大量の写真やエンコードしたビデオを自分のブログや、動画共有サイト「YOUTUBE」にアップロードすると世界中のいろんなハーレーオーナーからかなり大きな反響があった。

 もらったメールはなんと500通以上!クールブレイカーは日本でAMD's World Champion Ship認められた唯一のショーであることや、2006年頃から一部の日本人カスタムビルダーが海外で評価されるようになったことがこのショーのレベルが海外でも話題になるようになった理由だ。

 時を同じくして、ハーレー・ダビッドソン(以下ハーレー)のアメリカ本社が、AMD's World Champion Shipのカスタムバイクビルディングとモディファイド・ハーレーバイクショーのオフィシャルスポンサーになることが発表された。

 なぜハーレーがAMDのショーのスポンサーになることがニュースなんだとお思いの方もいると思うが、これは結構サプライズなニュースなのだ。
 ハーレーは自らがオフィシャルスポンサーを務めるハーレーだけが参加できるカスタムショーを運営している。しかもAMDなど外部団体が運営するカスタムショーのコンテストは、90年代からずっとコンテストのルールを拡張してきたために、これらのショーで発表されるバイクは、ハーレーのルックスであってもアフターマーケットのフレームやエンジンを積んだバイクが主流のため、ハーレーが直接これらのショーをサポートするメリットはなかった。

 しかし違う見方をすると、ハーレーがオフィシャルパートナーになったのは当然なのかもしれない。
 なぜなら彼らには自らがワールドワイドなカスタムショーにハーレーだけのモディファイクラスを創設し、それを活性化させることでカスタムバイクを作る個人やプロフェッショナルとの結びつきを強めるという目的があるからだ。

 ハーレー純正パーツ&アクセサリー部門のマーケティングマネージャー,スティーブ・エンショー氏は最近のインタビューでこう述べている。 

"ハーレーがワールドチャンピオンシップのプログラムを新しく作るのは、マーケットをリードするためのアプローチのためだ。AMDとは、ハーレー純正というカスタムのジャンルを作っていくための提携を今後は加速させてくだろう。"

 いろんな思惑が絡んでいるが、こういうアプローチはうれしい限りだ。メーカー主導でベース車両のファクトリー・チョッパー化が進めばユーザーの選択の幅を広がるし、アフターパーツのマーケットがさらに活性化するに違いない。

 しかしクールブレイカーを主催するホットドックの河北さんによると、話はそんなに単純でもないらしい。 「確かに自分達が海外でガンバリはじめてからは、日本のカスタムシーンについての問い合わせは増えたし、実際日本に興味を持っている人はたくさんいる。けど、アメリカからヨーロッパへのビジネスやカスタムショーの流れはかなりうまくいっているようだけど、日本はアメリカを始め海外のアフターパーツメーカーからすると市場規模が小さすぎるんだよね。」

 カスタムショーはその国、地域でのアフターパーツメーカー主導の販促活動の場でもある。年間1万台以上ツインカムが売れていても、日本のカスタムハーレーの市場は外国からすると微々たるもの。
 厳しい車検と法律に加えて、環境に対する新たな規制などによってさらに日本のカスタム市場は縮小するだろう。

 だから世界で評価される日本人ビルダーはアメリカを目指すのだろうか。ゼロエンジニアリングの木村氏は、アメリカの西海岸カリフォルニアに拠点を移した。海外のSNSでは、彼が精力的にいろんなショーを回っている模様を見ることができる。

 ハーレーの本場で腕を試したいというマインド、数億円を払ってカスタムバイクを依頼するハリウッドのスターたちとダイレクトに話ながら好きなバイクを創造できる刺激・・・。

 アメリカのそれはカスタムハーレーの環境や経済規模は日本のそれとは全く違う。ディスカバリーチャンネルに出演しているショップ、オレンジカウンティーチョッパー(OCC)のファクトリーの飛行機の整備場のような巨大さがカスタムバイク業界におけるアメリカのその規模を示している。
 逆に日本ってどうなんだろう?オリジナリティはあるが独自で小さな市場として、今後もこのままやってくのかな?それともカスタム業界のイチローが現れて、閉じていた日本の市場はどこかで世界とつながるんだろうか?

(クラブハーレー2009年6月号に掲載)













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2008:05:27:14:34:43

パンヘッドのオイル漏れ

»  エボに数年、パンは手に入れてからはもう10年近くが経つ。  私のところに来てすいぶん時間の経ったパンは海の塩害のせいもあるのか以前より外装がずいぶんと色褪せて年季がさらに入ったことを別にすれば相変わらず調子よく走ってくれるが、走行距離が約5万キロに達したタイミングを境にいろんなところに劣化によるガタが出てきた。  その最たるものがいろんな箇所からのオイル漏れだ。滲むというよりも結構派手に漏れている箇所があるというのが実情に近い。  エアクリーナーを外しあちこちを目視すると、純正リンカートキャブのストレーナーやボウルのあたりにはオイルが垂れている線がいくつも見える。これらキャブのコルクのガスケットは即交換だ。  デュオグライドの特徴のひとつであるシリンダーヘッドの外側に取りまわされたオイルラインの留め位置からもまだ漏れがひどくなっていた。ここは半年前にも一回ガスケットを交換したのだが起こりやすい個所なのかまたすぐに漏れ再発である、ヤレヤレ。  詳しい人のアドバイスでは、この箇所はエンジン熱でどんどんガスケットが硬化していくので、その分を時々締め込まないと漏れの原因になるのだそうだ。  マニホールドのOリングもヨレヨレでここから二次エアを吸っていた。エアを吸っているかどうかはエンジンを始動してマニホールドのジョイント部分にパーツクリーナーを吹きかければすぐ分かる。  吹いた時にアイドリングが変化すればそれはクロだ。マフラーからのアフターファイヤーや、キャブの息つきに悩んでいる人は一度試す価値があるだろう。  長く乗り続けていると試行錯誤するうちに自分なりのメンテナンスのスタイルが決まっているが、当初のショップにお任せ状態から徐々に自前で作業することが多くなり、今はハーフビルド的な手法で愛車と付き合う方法に落ち着いた。  ハーフビルドは家を建てる作業を建築主と工務店が作業分担して行うようなやり方などを意味するが、バイクの場合も同じように自分自身が主体となってメンテナンスを行い、必要最低限な機能をショップに提供してもらうやり方のことだ。  すべてお任せで自身は走ることに専念することもひとつのやり方だとは思うが、時間の許す限りできるところは自分で仕上げていくハーフビルドはコストを抑えられるというメリットだけでなく、自分自身がマシンに深く関われるという利点がある。 これはとても大切なポイントだと思う。  故障するとユニット毎にまるごとアセンブリ交換することが多くなり、セッティングには計測機器が必須になってきたツインカムを個人でどこまでいじれるかについては難しいとこだが、どんな車両でも自分の手を汚して面倒を見てあげることで得られるものはかなり多く、そしてハーレーライフを豊かにしてくれる。  ただハーレーの構造についての深い知識と経験は一朝一夕に得られるものではなく、メンテナンス・ブックなどを参考にしながら分解し、そして組みなおしたりということを繰り返しながら実践によるトライ&エラーを重ねていくしかない。  旧車の世界はメンテナンスの自由度だけは非常に高いので、例えばミッションだけを外してショップに持ち込み、オーバー・ホールしてもらったあとは自分で組むくらいのハーフビルダーは私の周りにもたくさんいる。  直接、内燃機屋にボーリングを依頼するというツワモノのフルビルダーにやってしまう人もいるが、共通して言えるのはいい修理屋を知っていて、それとうまく付き合っているということだ。  ハーレーショップは大きく分けるといくつかのカテゴリに分類できる。いわゆる新車主体のディーラー、カスタムが中心の店、そして修理を専門とする店だ。  修理屋は個人などで商売をしているところが多いのでメディアへの露出もなく地味な存在だが、当然腕はピカイチなので人づてに口コミで評判が広がり、知る人ぞ知るような紹介でないと受けてくれない人気修理屋もあるので、自分で徹底的にいじりたい人は詳しい人に聞いてみるといい。  オイル漏れの対策を各所に施し、スプロケットやクラッチハブなどの部品や各種ガスケットの交換、点火時期などのセッティングの見直しを経てひとまず私のパンは完調を取り戻したようだ。  勉強のために最近買い足したメンテナンスブックには、"Chrome don't gecha home.(クロムパーツじゃ家には帰れない)"とキャッチコピーがデカデカとあったが、まったくそのとおりだ。メンテ道に終わりはない、いつか路上で立ち尽くさないためにも。
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2008-05-27

2008:08:01:14:07:49

ボトルホルダー製作

»  デュオグライドのガソリンタンク容量は3.25ガロンで、満タンにしても10リットルくらいしか入らない。図体はでかいのに最新のスポーツスターにも劣るこの容量のため長距離走行ではガス欠を心配しながら走ることもしばしばだ。  キャンプギアをホワイトガソリンや普通のガソリンも使えるタイプにどんどん変えていく中、普段はキャンプ用の燃料ボトルとして使い、時には予備のガソリンタンクとしても使うためのボトルホルダを作りたくなった。  いろんなショップで売られているものをチェックしてみたが、形としても機能としてももう少し自分にあったものが欲しい。そこで友人で旧車のサドルバッグの補修や革製品の製作をやってくれている友人、Somaさんにお願いしてみた。  彼はいきなりのお願いに多少面喰ったようだが企画をおもしろがってくれた。  「まず僕(Somaさん)のキャンプギアは、ランタン始めバーナーなどもカセットガスか電池用ばかりで、ホワイトガソリン等を入れるガソリンボトルという物を持っていませんでした。花園キャンプでお話を頂いたときも正直ちょっとイメージが掴みにくくて、その日僕は日帰りでたいして話も出来なかった事もあって本気で考え込んでいました。そんな折、友人のサドルバッグのメンテナンスの依頼があり、それは"チョッパーだからタンク容量が心配。ガソリンボトル入れも付けて欲しい"というオーダーでした。これはチャンス!と思って、現物を借りて試行錯誤を始めました。」  まずは二人で話をしたのはバイクのどこにボトルを取り付けるかということだ。  まず考えたのはリヤのクラッシュバー。これも左右では多少形状も違うし右足側はキックペダルと干渉するこをは避けないといけない。またシート下部という案もあったが、それは熱の問題と万が一オイルが漏れたりすることがあると大惨事になりかねないので却下した。  「形としてまず頭に浮かぶホルダーはハーレー雑誌によく出る有名皮革ショップの物です。実際漏斗等も付属されているので、それはそれで良いものだと思いますけど、やはり"完全オリジナル"の物を欲しい人が僕に頼んでくれるのだから、その人だけの他で似た物すら売っていないような物が作りたかったという自分なりの拘りも少なくありませんでした。」  デザイン案をいくつかフリーハンドのデッサンとして作ってもらいながら議論をした。私は実用性重視なリクエストをいつくか入れさせてもらって、それをデザインの中に入れてもらった。  「当初は気負いが相当強かったと自分でも反省しましたが"見せる物ではなく使う物"という本来の用途を自分の中で再認識して、少し凝った物からシンプルで頑丈な物を作るという目標に変えました。ただし、ボトルの中味が引火性のモノである事、バイク、それも振動の激しい旧車のハーレーに縛りつけ走るという条件、そして、絶対に発生するオイルの飛び散りなどの汚れをクリーニングし易い凹凸の少ない形状...それらをぜんぶクリアするのは大変でしたね。」  そして半年をかけた長い試行錯誤の積み重ねを経て、琵琶湖で旧車が集まるキャンプイベント会場でその試作品は彼の48パンに装着されてやってきた。  大急ぎで作成された試作はテストのためガソリンの代わりに酒を入れ、長距離での耐性チェック中だったが、強度は十分でデザイン的にも使い勝手も悪くないので、それを基に改良てもらい納品してもらった。  しかし取り付けてみると問題が起こった。48パンのリジッドフレームに装着されたクラッシュバーでフィッティングをチェックしてくれていたのが、実際に取り付けるのはデュオグライドのサイズの違うフレームだということが我々の意識から全く抜けていたのだ。仕方なくもういちど測り直したサイズを基にさらに修正を加えてもらいやっとピッタリのボトルホルダーが完成!  「結果的に予備ガソリン用の太いモデル専用も作成出来たし、先に送った物も修正出来たので良かったですが、やはり素人です。実際のそのバイクが有り、取り付けるべき現物があり、そしてそれぞれの寸法をきっちり計ることでやっと、初めてピッタリの物が出来ると痛感しました。」  今回の試行錯誤はいろんな意味でよい経験になったというSomaさんだが、取り付け位置の形状に完璧にフィットした形と考え抜かれた使い勝手、そして質感とデザイン、どこをとってもすばらしいモノを作ってくれました。自分の意見も入れてもらった完全オリジナルということで感激もひとしお。末永くこのバイクと一緒に大切に使っていきますよ!
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2008-08-01

2008:08:29:18:00:59

2008年北海道旅

»  朝テントから這い出ると、昨日夜遅くまで雨が降りしきる日本の東の果てにあるキャンプ場の東屋の下でヌルいビールを片手にお互いの旅の話をした青年が、バイクのエンジンをかけるため路面が平坦なところまで重そうなマシンを押していた。  リヤキャリアにはお世辞にも整理整頓されて積まれているとはいえないゴチャゴチャとした荷物がかろうじて太いネットに結びつけけられていたが、何本かのホクレンの旗が彼が長い旅を続けている証として誇らしげに荷物に突き刺さっていた。  遠慮勝ちにセルボタンを押すと甲高いオフロードバイクのアイドリング音が一瞬静かなキャンプ場に鳴り響いたが、彼はそれを詫びるかのように遠慮勝ちな目で私に会釈をし飛び出していった。  北海道へ訪れるライダーは90年代前半をピークに減少を続けているらしい。北海道ツーリングライダーが「ミツバチ族」と呼ばれていた1970年代の頃から、荷物を満載して道内を駆け巡るライダーの姿は北海道の短い夏を彩る風物詩となっていて、「オートバイは邪魔者」という認識がまだ一部で強く残る日本国内の他地域と比較すると、北海道はライダーに対し大らか、かつ歓迎ムードが高い地域だ。  広大な自然の中を渋滞なく走り続けられるすばらしい道路事情、北の大地と豊かな海がもたらしてくれる味覚、無料や格安のキャンプ場、ライダーハウスなどのインフラがライダーを暖かく迎えてくれる。  しかし、今年はさらにライダーが少ないということを各所で聞く。1リットル200円を突破しそうな勢いのガソリンの価格やしばらく続いている世の中全体の不景気のせいだろうか。そしてハーレーの数もかなり少ない。  ナックルやパンで週末のツーリングイベントをこなすのは年とともにしんどくなりつつある。歳とともに面倒なことに対する気力、体力が落ちているとは考えたくないが、限られた時間を無難に効率的に過ごすなら高速道路を快適に走れるツインカムを手に入れるのがベストな選択だと思う。  アメリカでも平均速度が120キロを超えるインターステートを走っているのはツインカムばかりで巡航速度が遅いショベル以前のハーレーはバックロード(いわゆる裏道)を走るしかない。  ショベルならインターステートの巡航にギリギリ耐えられるのかもしれないが、バイクのパフォーマンスの限界の走りでラリーのような旅を続けるとバイクの至る所にツケがくることは避けられない。  バッテリのコンディションがいまいちのデュオグライドでこの夏はこれらの行為を行うことも考えたが、今回は自転車で旅に出た。  わずかな荷物を積んで一日に10時間も北海道の大地を自転車走るとただでさえ広大な空間が一段と広くなり、いつまでペダルをこいでも一向に変わらない景色が自分の力の無力感を毎日強く感じさせてくれる。  何日かそれが続くともう走る以外のたいていのことはどうでもよくなってきて、一日が終わるとまずはバイクのメンテナンスをやり、食事は簡単なもので済ませ、明日の英気を養うため早めに休息する。よい旅はラリーに似てシンプルで無駄がない。 旅の最後に数日を過ごした羅臼のキャンプ場には、外国からのバックパッカーが数多くやってきていたたくさんいた。彼らはどこからか札幌までやってきて、そしてヒッチハイクで何日もかけてユネスコ世界遺産に認定された知床を目指してやってくる。もしあなたのリヤシートが空いてあるなら北海道に来るときにはもうひとつヘルメットを持ってくるといい。きっとイージーライダーのような気ままなヒッチハイカーとの道連れの旅が楽しめるはずだ。  「結局、行くも帰るもないんだ。要はそこに居るってこと。その瞬間を生きているってこと。」何年も旅を続けている彼らの哲学は要約するとこのようなものだったと思う。  ハーレーで旅をしていると「(四輪で行きゃいいのに) 暑い?寒い?」「盗まれる」「音がうるさい」「(この道楽するのに)幾らするの?」といった周囲の揶揄攻撃にさらされてしまう。  旧車に乗るならなおさらで、朽ち滅びゆく年老いたマシンに乗って、ABSのついた車や100馬力超のバイクにもまれながら走るのは大変な反社会的な行為と言われても仕方がないかもしれない。  HDのスローガンのひとつには、「If I have to explain, you wouldn't understand (HDの価値は自明であり、説明を求める人には理解できない)」とある。  私はそのハイカーにこう言った。「楽(ラク)と楽しいは違う。それが二輪に乗る人の哲学だろうよ。」  
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2008-08-29