Harley-Davidson NEWS(ハーレーダビッドソン ニュース)#98 NEWS Category Archives

Home » Harley-Davidson NEWS(ハーレーダビッドソン ニュース)#98 NEWS » TOURING/DIARY »

1234567891011

北海道にて思う

kushiro_ss2.jpg

過去に10月の初めに旅をしたことはあったのだが、さすがに10月後半の北海道は予想通り寒かった。しかし夏の喧騒が去って落ちつきを取り戻した大地をゆっくりと満喫することが出来た喜びは大きかった。


天気予報の予想はかなりの確率で当たるが、温度は場所によって大分違う。

すべての夜をキャンプで過ごしたが、朝方は氷点下まで気温が下がることも多いし、走行中も5度ぐらいの時がよくあった。できるだけ寒さと雨から逃れるために、山がちの場所を避けて、キャンプ場も標高の低い場所を選んで泊まったりしてしのいだ。

今回はキャンプ道具もさることながら、ロードキングにレザーのレッグガードと、カブについているハンドルカバーをつけたのが大成功で、走行中に泣きが入ることはほとんどなかった。

東京を出るときはいろいろからかわれたハンドルカバーだが、別に肉体の鍛錬のために走っているわけではないのだから、快適に走れるのが一番なのである。ロードキングは北海道に合っているらしく、一日に800キロほど走っても快適でトラブルもなかった。

ただ林道を走っているときにサイドスタンドのスプリングをぶっ壊したのと、スクリューを何本か旅の途中で落とした事は問題だったけど。

この時期の北海道を旅している人は個性的な人が多い。

学校になじめず家出して徒歩で旅を続ける14歳の少年。
世界各地を旅行してもう3年も家に帰っていない30歳の女性。遠くイギリスからやってきたWillieとEllen。定年退職後にバンで1年近くも旅を続けている初老の夫婦などなど知り合った人はみんなそれぞれの個性溢れる事情を抱えて旅をしている。

ハーレーに乗っている奴も一人だけいた。3カ月前から北海道に渡り、シャケバイ(サケの加工のバイト)をしながら道内を走り回っている彼は、シャケバイが終わりの時期を迎えたので奥尻島に渡り昆布拾いをしばらくやってから今度は沖縄を目指すらしい。

長い旅を続ける彼らの時間はとってもゆっくり流れていて、同じキャンプ場に何日も滞在し、ゆっくりとしたペースで少しづつ移動をしている。時間のない旅行者は朝早くから撤収に忙しいからすぐ分かる。ぼくもできるだけ彼らのゆっくりしたペースに合わせようと、朝起きてから彼らと一緒に湖でフライを振ったり、周囲の登山道を歩いたり、本を読んだりとゆっくりと過ごすようにしてから、また旅がいっそう楽しくなった。

旅の最終日が突然やって来て、ぼくは噴火する駒ヶ岳を横目に東京へと急いでいるとき、長万部から函館の間で何台かのバイクや自転車、そして徒歩の旅行者とすれ違った。

北海道を去る者もいれば、まだこれからやってくる者も大勢いる。出かける前に思い描いていた通り北海道の気候は日ごとに厳しさを増していて、都市に雪が降るのも時間の問題らしい。

出かける前よりもずいぶんと寒くなった東京に戻ると、あっと言う間に自分の日常がやってきて、また忙しい日々が始まった。だが、夜に窓を開けて外をぼんやりと眺めるときに、彼らと一緒に火を囲んだ夜のことをちょっとだけ思い出しながら、彼らのその無駄とも思える贅沢な日々が今も続いていることを願わずにはいられないのだ




1234567891011