約一ヶ月も待たされたヘッドだったが、仕上がり具合を点検及び、各設定を公開しよう。
まず社外のスプリングロアーシートは81〜のステムシール対応用に出来ていて
ご覧のようにシールの逃げに穴が大きい。(画像右側)
一応パフォーマンスパーツに出来ていて純正なんかと比べると少し薄い物でその分の
突き出しを考えて今回は突き出し40,5ミリでオーダーした。この40、5ミリというのは
セット長35ミリをベストとしている私のヘッドリビルトの大前提基本データから今回、意図的に
決定したものである。セット長35ミリベストは、これは個人の勘とかそういった不特定な類の
ものではなく、先人のメカニックの数え切れないほどの実際のリビルト経験データから割り出された
数値である。もちろんシートプレッシャーとの綿密な関係によるものでもある。
後年になって気が付いたことであるが、実は設計(青写真)上でもそうなっているのである。
すべてのパーツが純正ならば1340の場合、突き出し41ミリでセット長が35ミリになるはずである。
画像は突き出しの計測の仕方。1340ではヘッドの面とバルブステム頂上を計測する。
1200はちょっと面倒で、ヘッドの面がテーパーになっており測れないのでガイドの首からバルブ
ステムの頂点を測る。しかもヘッドの個体差によりテーパーの度合いなども違うので、現状の
突き出しで(リビルト前ね)セット長がどうなるかを割り出し計算してすべてのセット長が35ミリになる
ようにシュミレートする。しかも製作物のガイドが入っている時はもちろん、既製品のガイドも首のリン
グの厚みも違う時があるので、そういった要素を含めると、1200のプランニングは結構面倒です。
今回私の指定に対し誤差は0,03ミリ程度。これは素晴らしい。
それもそのはず、社長とディスカッションを重ね、何故なのかを理解して頂き、わざわざ
鍛冶具を削りだしで製作してもらい(普段ではやらない)加工してもらっているからなのだ。
普通なら指定より0,2くらい狂っているのがザラ。
このとんでもない1件がなければね・・・・。
ブロンズ色しているのが今までの今までのリン青銅ガイドで、左が今回使うキャストガイド。
ステムシール加工に注目して欲しい。今回のキャストは頭を短くしてシールをつけても尚
シールナシガイドの高さになるように調整した。
シールを嵌めるとこんな感じ。使用するシールはシフトン製。国産ディーゼルタイプに似ているが
ステムに対する締め付けはかなりソフトで、それでいて純正タイプ(紙タイプ)より耐久性が高く
キャストガイド使用でも安心と私は判断している。ステムとガイドのクリアランスはEX0.05ミリ、
in0,03ミリに設定。
バルブとシートの当たり幅は1ミリ。(しかしビックなシートリングだよねぇ・・もうすぐプラグ穴w)
バルブの大きさからしてみれば狭いのでは?と思われる方もいるだろう。実際に私も狭いと思う。
しかしこれにはプランニングの意図があるのです。
ショベルのバルブスプリングは非常に強く、ベストの1,1〜1.2で初めから当たりを出してしまうと
間もなくベタ当たりしてしまうにそれほどの距離は実は入らないのである。これでは一番良い状態の
ライフは短く、シートの面圧も落ちてしまう。これがピークカーブを考え、初め1ミリに設定しておけば
当たりが付いた頃に(馴染んだ頃に)ベスト1.1〜1.2ミリの当りになるのである。当たりが付いて
1,2ならば、それ以上には中々広がって行かないものなのである。(寿命の延長)
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左が既存のバルブスプリングアッパーカラー。右が今回使うアッパーカラー。
下から数えて1段目がバルブスプリング(メイン)が収まる段。2段目がインナースプリングが
収まる段。その上の3段目の出っ張りがバルブコッターが中に収まるところ。このコッターが
収まるところが左の既存に比べ、薄いのがお分かりになると思う。この分、純正タイプのコッターを
使うと、外に少し見える結果になったがOK。この薄さがバルブトラベルを余計に稼ぎ出し、先述の
薄いロアーカラーと短いガイドと相まって、今回、現在するショベル用のすべてのハイリフトカムに対応
出来るようにした。(私は純正Hカム派ですが・・)
コッターの図。左が純正タイプ、右が社外(マンレイ)
左の既存コッターも純正かどうかわからないので、ついでにコッターも新しくと思い取り寄せたら
ご覧の通り社外は太かった・・・。
その為に、これを取り付けるとセット長が34ミリを切ってしまうので(33,78)採用は見合わせ
既存の純正タイプを入れた。それで34,3ミリ。あれ?35ミリがベストって言ったじゃん!と言うかも
しれない。しかしそれを踏まえた上で、ここに「一生物のヘッド」の大きな意義があるのだ。
0,7ミリあれば、かなり荒れたシートリングでも(程度にもよるが)削り去ることが出来るのだ。
すなわち、もう1回は確実にシートカットが施せるという意図なのです。0.7ミリ短ければちょっと
バルブスプリングの張力、すなわち、シートリングとバルブフェイスの圧力=シートプレッシャーが
上がるが、まぁ許容範囲。(ホントは0,5ミリ以内の代に収めたかったけどね。マンレイバルブは
久しぶりなので・・^^;)
だから乗れば乗るほど、よりベストに近づくなんて夢みたいじゃないですか?笑
それにマンレイバルブに合わせて突き出しのセットを行なったので、次回、純正のように普通の
既存タイプ、たとえば(キブリーホワイトのブラックダイアモンド等)のバルブ傘の厚いものを使えば
突き出しも全然押さえられ、それこそ3回でも4回でも範囲内でシートカットが施せるのである。★
そんなところからもマンレイバルブは精度も良く、軽く薄く、好きな所の一つでもある。
今回は採用しなかったがアンドリュースのミディアムリフトアッパーカラーを使用すれば
突き出しとセット長の関係を1ミリ近く変える事ができる。(突き出しが短くてもセット長はベストに)
だからこれら本来、ハイカムを入れた時にトラベルを稼ぐ社外パフォーマンスパーツも研究すれば、
色々なリビルトプランニングの材料として使用できるのである。(でも私は純正派だけどね)
素人だから許される?拘り一生物ヘッド。それは将来を見据え、走れば走るほど調子が出てベストに
近づく夢のヘッド。(大げさに 笑) その理由はこんなところです。^^
次は2万キロくらい走ってたら再びバルブ擦り合わせとステムシール交換だね。
う〜む。外からじゃinシートリングがデカイだけでわからないのだけどね。
バルブを通し・・・。青いクリームはマイクロロンアッセンブリールブリカント。
熱が入れば簡易テフロン加工が施されと同じ効果。私はシリンダー内にも塗りつける。
(初期カジリが大幅に防止出来る)
純正バルブスプリングを組み付け(テンション計測チェック済み。)
その材質、座り、精度が違う。30年以上テンションが掛けられ続けてもへたらないなんて、
凄いと思いませんか? もしへたっていてもいつも1個くらい。そのテンション下降数値はわずか
2pi〜3psi 。これは俗に調子が良い車両での話しで、大きくへたっているのは明らかに調子が
悪いから結構判断出来るもんです。
ロッカーアームのサイドプレイ(横ガタ)を計測。
F,in 0,20 ミリ F,ex 0,50ミリ R,in 0,05ミリ R,ex 0,35ミリ
ちょっとRのinが狭かったので0,2まで加工しておいた。
ヘッドをロッカーと合体させて完成〜♪
終わりに・・
これをみてマニュアルの数字など、只の平均値に過ぎないという事がお分かりになったと思う。
オタクの世界はそれではダメなのである。
私もマニュアルなど昔からトルク値を忘れた時くらいしか見ない。
すべては実戦経験なんである。だからボーリング屋にお任せなんて私からすれば??なんです。
加工屋は加工屋であって、指定どおりに正確に仕事をしてくれればそれで良いのである。
でも拘るって楽しいですよね。ホント、そうやって作ったヘッドは必ず答えてくれるものです。
「拘るって事は、当たり前の事を当たり前にやること・・」誰か言ってましたね。全く同感です。
これらの記述が少しでも、拘りのある皆さんの為になるならば幸いです。
その後の組み付けや走行インプレはマリーナ氏の
「ショベルに乗ってどこまでも」の低圧縮よ、さようならショベル復活編をご覧下さい。
終わり。
ps
これらのデータ・記述は個人的ナ経験・見解であり、人により考え方も見解も違うと思います。
信用しない人は信用しなくても一向に構わないので、くれぐれも上げ足取りなご意見は無用で
お願い致します。
又記述に対し、前向きな質問はいつでもお受けしますので、語ろうショベルFLHに気軽に書いて
くださいまし。