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今冬は革ライダースジャケットでキメる

革のライダースジャケットはバイク乗りのシンボル。でも、この秋冬はその特権がライダー以外にも解禁されている。一見武骨な黒のライダースジャケットに手を加え、おしゃれに着こなす提案がいくつものファッションブランドから打ち出され、この秋冬のマストアイテムになりつつある。

 黒革のライダースジャケットから連想されるのは、ロカビリー、パンクロック、ハーレー・ダビッドソン──。エルビス・プレスリーもライダースジャケットのアイコンだった。


様々なデザイン、素材のライダースジャケットが並ぶ(伊勢丹新宿店・メンズ館)

 映画好きには「イージーライダー」(1969年)、マーロン・ブランド主演の「乱暴者」(原題:The Wild One、53年)、 映画「ジャイアンツ」(56年)のジェームス・ディーンのイメージが強いだろう。その後も「マッドマックス」「ターミネーター」など、タフな主人公が身にまとった。バイクを駆る特殊警察チームを描いた漫画「ワイルド7」でもメンバーの「制服」はライダースジャケットだった。

 こうしたイメージの重なり合いや、バイクとの連想から、一般には「ライダースジャケット=不良」といったイメージが定着していった。もちろん、ライダースジャケットを着る人がすべて「不良」であるわけもないが、世の中の通念としては今なお不良テイストの強いアイテムとして認知されている。


表面にダメージ加工を施したジャケットも(伊勢丹新宿店・メンズ館)

 その「不良」イメージは近年の「ちょいワル」ブームの中、ワイルドで男っぽい印象を打ち出せる貴重なアイテムとしてかえって見直されることにつながったようだ。しかもこの秋冬のライダーズジャケットは基本フォルムを受け継ぎながらも、革素材の表面にしわを寄せたり、波打たせたり、襟やファスナーの形に動きを出したりと、ディテール(細部)に凝ったジャケットが目に付く。

 バイクに乗っていない大人が町中やレストランで着てもおかしくない上質感をまとわせ、着て行ける場面を広げている。アウトサイダーっぽさは漂わせながら、旧来の牛革ではなく、ラム革のような比較的ソフトな上質素材を使って、ハードすぎない風合いを生み出しているのがこの秋冬スタイルだ。


ポケットや切り返しなどディテールに凝ったデザインが目に付く(伊勢丹新宿店・メンズ館)

 ライダースジャケットはバイクの運転がしやすいようにデザインされている。走行中に風をはらんで運転を妨げない配慮から、上半身にぴったりフィットしたデザインが主流だ。こうした造りのおかげで、上半身が締まって見えるのは、体型が気になる人にはありがたい。肩エポレットやダブルフロントなどの効果で、がっしりとした見た目になるのも、マニッシュなイメージを強調するのには向いている。

 皮革製品に強い国内ブランド「レッドムーン」は肩、ひじ先に切り替えやキルティング加工を施したり、やわらかい上質レザーを使った、大人仕様のライダースジャケットを提案している。ロカビリー界のスーパースター、ミッキー・カーチスさんも愛用者という「レッドムーン」は自社工房で職人がハンドメードで仕上げる丁寧な手仕事で知られ、革好きからの支持を得ている。


インナーのシャツとネクタイに合わせる着こなしも提案(伊勢丹新宿店・メンズ館)

 9月にリモデルしたばかりの伊勢丹新宿店・メンズ館でも革製ライダースジャケットを押している。象徴的なファスナーをレザーで包み込んで隠し、ギラギラ感を落としたり、落ち着いたグレー革製、ボタン留めの大人しいスタイルをそろえた。シャツとネクタイの上に羽織る着こなしも提案している。

 革製ライダースジャケットを広めた功績を担ったのが、米国最大のオートバイメーカー、ハーレー・ダビッドソン。30年代から自社製のライダースジャケットを発売していて、ダブル襟や5ポケット、ファスナー付きポケットなど、その後のライダースジャケットの基本フォルムを決定付けるデザインを開発した。


腕や脇のデザインに新味が感じられる(レッドムーン)

 海外のブランドではほかに、70年代に創業したバイカー専門の米国ブランド「バンソン」(VANSON)や、俳優ジェームス・ディーンが愛用したことでも有名な老舗「ショット」(Schott)などが名高い。

 この秋冬は女性のファッションでも革のライダースジャケットがトレンドアイテムに躍り出た。もともと男性向きのウエアで、女性向け商品は少なかったが、2007−2008年秋冬コレクションで世界の有名デザイナーが相次いでライダースジャケットを発表。「エルメス」「グッチ」「ジュンヤ・ワタナベ」などのブランドでライダースジャケットがランウェイを彩った。ジャンポール・ゴルチエ氏がデザイナーを務める「エルメス」ではハーレー・ダビッドソンまで舞台に登場した。


肩やひじ先のデザイン、斜めに切ったファスナーなどが動きを出している(レッドムーン)

 女性が「ダンディーレディー」を掲げて、マニッシュなスタイルを選び取る中、ライダースジャケットはそのキラーアイテムと目されている。しかし、、もともとはオトコの子の自己主張アイテム。レディーたちに負けてはいられまい。

(日経WagaMaga


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