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再掲:第10回記念大会 HDN花園忘年会キャンプ 2007
ヨコハマ ホット ロッド・カスタム ショー 2007

ハーレー、山、雪

 ひたすら東北自動道を北上し、やっとの思いで栃木県の佐野サービスエリアに入った時には体の芯までが完全に冷え切っていた。

 ガタガタとする手でコーヒーを買い、そっと両手で缶を握り締めると少しずつ手に感覚が戻ってきた。レザーのグローブでは全く寒さに耐えられないので、ここからは運良くサイドバッグに忍ばせていたスノボ用のグローブに換えることにしよう。 ミーティングの告知数がガクンと減ってキャンプ場も静けさを取り戻すこの時期、雪が降るかどうかという気象状況の福島県で毎年キャンプイベントをやっている。

 この時期に外でキャンプという企画の話をすると、「なんでそんな寒い時期に!」というお決まりのリアクションが返ってくるが、暖を取るための焚火やおいしい料理をじっくり楽しめるのもこの時期だし、フィールドはガラガラで虫も心配もない。 しかも、何よりハーレーの空冷エンジンがとても元気になる季節におもいっきり遠出しない理由などないだろう。特にヒートしやすい旧車にとってはこれからが天国のような季節だ。

 天気に恵まれた11月最後の三連休、いつものようにデュオグライドに荷物を積み込んでいざ出陣!と途中までかなりの威勢で走り出したものの、日中でも気温は5度以下。陽が陰ると気温は氷点下に近い。ガソリンスタンドでキックをしようにもヒザが冷え切っていて思うように力が入らないとケッチンをくらい易いので、こんな時のキックスタートには要注意だ。

 目的地が近づくにつれて道路脇には雪が見え始め、温度計の表示がマイナスとなり始めた時やっと今晩泊まる岳温泉に到着した。温泉街の中心部で信号待ちをしていると、エンジン音を聞きつけてすぐ横の食堂からいきなり仲間が飛び出してきた。おおおお、やっとついたあ!!!という喜びで今まで寒さに苦しめられていたのがウソのように顔がほころぶ。

 バイクをすぐ近所の宿において、夕飯に合流した。ビールグラスを持つ手のガタガタとした震えるが冷えたビールがうまい。ここは成駒というこの街で唯一ともいえる食事処で、ソースかつ丼で有名な店だ。

 食事を済ませその日は素朴な湯治宿に投宿する。湯につかった後は2時間100円のテレビを見ながら部屋でプチ宴会。バーボンサワーをクイクイと次々に飲み干しながら心地よい疲労感に包まれて早々に沈没した。

 素泊まり旅館の朝はとても早い。朝は6時頃にはあわただしく宿泊客がチェックアウトしていく。
 今日は我々もいよいよキャンプの日だ。

 日陰にあったデュオグライドのキックペダルを何度か踏んでクランクを軽く回してみるがウソみたいに重い。ソロシートの表面はまだバリバリと凍っている。きっとエンジンオイルは水飴状態だろう。
 エンジンを少しでも温めようとバイクを日光の当たるところまで移動させてから、何度かキックを踏んでみるがやっぱりすぐにはかからない。

「あれ、ミッション動いてるよ・・・」

 傍で私のキックを眺めていた友人が不思議そうにつぶやいた。まさかと思って確認してみると、確かにキックペダルを踏み込むとミッションがグラグラと揺れている。
「ああ、こんな処でなんてことだ、またきっとどこかのボルト落ちてるよ・・・。」
 工具を取り出して隅々の脱落をチェックするが、目に見えるモノは確かにちゃんと刺さっていて、それなりに締まっている。なぜだろう?

 しばらく悩んだが、今日は自走できるのでヨシとしよう。旅先ではその場での割り切りが肝心だ。
 宿から五分ほどのところに今回の目的地、「あだたら高原野営場」がある。
 11月では記録的な大雪に見舞われたせいで、キャンプグラウンドは一面の銀世界!その誰も走っていない新雪の上にデュオグライドでシュプールを描く。グリップが心細いSHINKOのタイヤがズルズルいいながら雪を噛んで横に流れる。

うーん、たのしーー!雪サイコー! ハイドラグライドとショベルFLHの友人らも入ってきて、一緒に雪上記念撮影。

 彼ら二台に装着されている巨大な冬用シールドは、今は入手困難なハンドルまでカバーする布製のカバーで、見た目はとても悪いけど効果は抜群らしい。しかし前からこんな格好のバイクが二台連なって走ってきたら、本当にビビるよね。

 きっと、このシールドがあまりにも薄汚くて格好悪いから、ハーレー・ダビッドソン社がFRPのいわゆるヤッコを作ったののではないだろうか。正常進化する前の化石のようなシールドを見ながらみんなでそんな事をワイワイとそんな話をした。

 雪の上にテントを設営し宴のベースキャンプを作った後は、今度は車で安達太良山に向かった。
 ベースを張った野営場はバイクでいけるギリギリの場所だったようで、すぐ上の道路は雪と氷で覆われている。

 我々中年5人はロープウェイで1,100メートルの中腹まで一気に上がり、そこから深く雪に覆われた登山道へと入っていった。

 が、しかし本格的な冬装備を誰も持ってきていなかったため、深く積もった雪に足を取られて敢え無く行軍不可能となってしまった。完全に我々の敗北である。
 我々はやっとのことで尾根沿いの展望台までたどり着き、強風に吹っ飛ばされそうになりながら、雄大な山頂に向かって、

「エイドリアン~~~!!」

とあらん限りの大声で叫んだ。
 寒いし、きつい、けどこの心の底から湧き上る充足感はどこから来るのだろう?そうか!こ、これはイケルぞ!

「これからはハーレーと山だ!」

と誰かが叫んだ!そうだ!これは中高年にもうってつけの組み合わせ!他誌にはない新しい機軸の企画に違いないぞ!
 山頂のあまりの寒さのせいでハイ状態になってしまい、我々は下山した後、さっそくハーレーオーナーの山岳隊結成した。これから隊員募集します。


 しかしJack編集長、新企画としてはやっぱボツですかね(笑)。


(クラブハーレー2007年12月号に掲載)

再掲:第10回記念大会 HDN花園忘年会キャンプ 2007
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