8月14日(火)
昨日の酒が残るようなこともなく気分いい朝を迎えた。
草原のなかで寝袋にくるまってたわけで、テントのなかの蒸されて汗ダラダラ状態じゃなく、知らない虫にかまれてたけど最高の朝だった。
4人ともほぼ同時に起き出したけどやっぱり朝はみんな言葉が少なめだ。昨日の食い散らかした後をかたずけてるとみんなのテンションもじょじょに上がってきた。
4人で朝のショップ見学が始まった。
この時ばかりは金のない自分に苛立ちを覚えた。なにしろ欲しいモンがかなり安く売っているのに買えないなんて。
一番悔しかったのはゴアテックスの軍コート(新品)が5000円ってのが買えなかったことだ。"サイズもおっきかったししょうがないよ"と自分に言い聞かせた。長谷川君は金に物言わせてマフラーとかツールボックスを値切りながらも買っていた。
そうこうやってるうちに太陽もずいぶん高いとこまで登ってきたようだ。ここで阿部三槽と長谷川君が四国を廻って帰るとのことで早めのお別れとなった。長谷川君はさっき買ったマフラーを積むのに苦労していた。固い握手をかわし、再会を約束して二人は旅だった。
それにしても暑い。本当は今日帰る予定だったけど、楽しいから明日までいることにする。二人で近くの温泉に入りに行く事にした。
15分くらい走った所に温泉はあった。300円をはらって汗を流す。露天風呂最高。やたらとハエがいたけど気持ち良かった。
会場にもどる。やっぱりこうなったらビールでしょ。昼間っから服部君とビールでカンパイ。やっぱりうまい。バイクヘブンはバドワイザーが協賛のようでバドの箱が山積みになっていた。あの山積みを崩してやろうってな勢いで呑みまくって、やっぱりとゆうか二人で爆睡してしまった。
目が覚めたのはもうすぐライブが始まる頃だった。
ショップがならぶ広場に トレーラーステージがあって、ベンチも用意されていた。後の方のベンチがまだ空いていたのでそこに陣取ることにする。
ステージでは予定よりおくれて入念で下品なマイクチェックが行われている。
いよいよライブスタート。最初のバンドはジャンルにこだわらずに往年の名曲を聞かせてくれた。マイクチェックの時にからかわれていたスコット(推定アメリカ人)のハーモニカがいい味だしていた。バンド入れ替わりの合間にとなりに一人で座ってる人を発見したので話し掛けてみた。
一人で名古屋から参加の松元さん(FXR)との出会いだ。意気投合して三人でカンパイ。いったい何本目のビールだろう。
二バンド目はみるからにハードなバンドで、酒がいい感じにまわってきた三人はベンチを離れてステージに近ずいて地面に腰を落とした。ビールもなくなってきて東京から用意していたウィスキーに手が伸びた。500のペットボトルに移し替えて持ってきてたのでそのままがぶ呑みスタイルだ。服部君と自分は"まぁ、呑めや"みたいな感じですごいペースでボトルを空けていった。ふとみると服部君が倒れている。まぁ、寝ているだけだろう。
ツェッペリンのロックンロールが始まったとき自分の中の何かが弾けて二人を残してステージ最全列に飛び込んでいってしまった。おどり、叫ぶ、もう何が何だか判らない。二バンド目の演奏も終了し二人の元に帰るとまだ服部君は寝ていた。かなり疲れてたのでバンド入れ替えの間、松元さんと二人で呑むことに。
"若いねぇ"なんて言うから歳を尋ねると"結構いってるよ"としか教えてくれない。三バンド目は東京からやってきたバンド"赤と黒"初のオリジナルバンドだ。また入念なマイクチェック。みた目はもろロカビリーで期待が高まる。でも曲が始まって飛び出してきたボーカルは赤い頭で"えっ"って感じだった。まぁ、呑みながら聞いてることにする。でも聞いてると曲が変る度に良くなっていく。また自分の中で何かが変った。ステージにかぶりつき状態。
踊り狂ってる連中と抱き会いながらボディーアタックを繰り返した。2メートルぐらいある推定アメリカ人に飛びかかったら逆にヘッドロックをお見舞された。それでもへらへら笑っている自分。かなりやばい。
ヘッドロックから解放されてステージにかぶりつき直したとき、ステージによじ登りだす人が出始めた。彼等のアピールにみんなで答える。
しかし、悲劇はこの後に起こった。
アピールを終えてステージから下りようとした人が転んだ。左顎をおもいっきり蹴られた。でも酔ってるからなのか痛みはない。ステージ上で謝ってる人に手を差し出して起きるのを助けた。なんていい奴なんだろう。でもこの衝撃で僕の前歯は欠けていた。気付いたのは長崎に着いてからだった。
そうこうしてる内にアンコールも終わって会場は静けさを取り戻し始めたように見えた。でもこの興奮は簡単にはやまなかった。
ハダカの男が自身をふりまわしながらステージに駆け上がった。彼のアピールにもみんなが答える。
ゲラゲラ笑いながらみてると、彼はステージから下りて急に恥ずかしそうにパンツをはきだした。さぁ、そろそろ山小屋に帰るかとまだ寝ている服部君を起こそうとする。でも、全く起きる気配がない。完璧につぶれている。しょうがないので松元さんと二人でかかえあげようとしたが、重くて無理だ。ここで松元さんがブルーシートを持ってきてくれた。シートで包みこんで持ち上げようとしたけどやっぱり無理だった。まわりでみてる人も心配そうに眺めてる。助けを求めたら快く手伝ってくれた。
まず吐かせたほうがいいだろうとトイレに運ぶことにする。しかしまた、トイレが遠い。バイクの駐車場を抜けるときは緊張感がはしる。トイレに着いたときは運んだ4人もヘロヘロ状態に。これ以上迷惑をかけたくないので"もう大丈夫です。ありがとうございました。"と手伝ってくれた二人に礼をいった。いざ、トイレに着いたものの当の服部君はまだ起き上がれない。口から変な液体が流れ出している。
やっぱり松元さんと自分の二人じゃどうしようもないのでトイレで用をたしてるひとにまた助けを求めた。今度は5人ががりで山小屋に運ぶことにした。自分のヘッドライトの光をたよりに暗闇のなかを山小屋を目指して丘を越える。
何度目かの休憩のとき服部君がやばそうなうなりをあげる。
ここでドラマみたいな展開が待っていた。
手伝っていてくれた一人が緊急師の資格を持っていたのだ。彼によると完全に吐かさせないとこのままじゃマズイという。彼はまず意識がちゃんとあるかの確認をした。脈をとる。次に服部君の指を握って服部君の口に突っ込んだ。こうやって無理にでも吐かせないとまずいらしい。僕はただ見守ることしかできない。
なんとか服部君を楽にさせ、何度も休憩しながら山小屋にたどり着いた。協力してくれた人達に何度もお礼をいって別れた。なんで昨日今日あった人達がこんなに協力しあえるのだろうか。ただバイクが好きって共通点しかないのに。
まさにバイカーズワールド、ブラザーなんだ。心があったまる
。服部君はまた深い眠りについたようだ。松元さんと僕は急に腹が減ってきたのでご飯を炊いてカレーを食べたながらずいぶんと話しこんだ。そして松元さんは自分のテントに戻って、それぞれの眠りについた。