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日本海珍道中  -富山泊編-
日本海珍道中 -さよならビラちゃん-

日本海珍道中 -いくぜ500キロ!-

バイクを買って何年かのうちに全国のいろんなところを旅したが、キャンプ場に泊まったことは一度もなかった。

泊まるのは決まって、駐車場や街道沿いの廃屋、林道や人気のない河川敷など、いきあたりばったりの場所。そういうところでテントを張ると暴走族やら野犬とか熊とかいろんな訪問客がくる夜があって、旅慣れてくると自然に防衛本能というか自分のなかの野性が甦るのか、ちょっとした物音でもすぐに聞き分けられる自分になっていく。

ハーレーを買ってミーティングにいくようになってはじめてキャンプ場に出向くようになったが、ほどほどの快適さと大人数でいることによる安心感などでキャンプ場の夜は朝まで熟睡することが多い。

ぼんやりと意識が戻ってきて時計を見るとまだ午前5時ちょっと前。テントの前でごそごそ動いてる人がいてその物音で偶然目が覚めたらしい。

外で動き回っていたのはビラちゃんだった。

風邪も治ったようで元気そう。ぼくがミネラルウォーターを持って海岸を散歩してまわってるうちにtakaさんがテントから出てきた。

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みんなそれなりに朝は弱いらしく、終始無言で汚れたテントサイトを撤収しはじめた。撤収は30分ぐらいで終了し、みんなで協力してテントサイトのバイクをUターンさせる。ぼくのロードキングは重いので3人がかりでやっと動いた。

ビラちゃんは自分でサイドスタンドを立てたところでスタンドが地面にめり込んでしまい、早くも転倒!また3人がかりで起こす羽目になった。その様子を遠巻きにしてみている家族連れの何人かが話しかけてきた。

家族連れA「これハーレー?何CC?」
taku「そうですよ。1340」
家族連れB「いいね〜」
家族連れC「でかいね〜!高いだろうね〜!」

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おきまりの話を少ししたあと、迷惑にならないところまでバイクを押していって暖気をした。

takaさんは、来た道を通って東京へ戻るらしい。しばし冗談を言い合った後、民宿街を抜けて8号線に出た。takaさんは左でぼくらは右だ。先に行きな!とぼくが手で合図をする。takaさんはこっくりと会釈をして朝日のほうへ向かって消えていった。

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さようならtakaさん。ぼくらは右だ。ビラちゃんをちらっと見て8号線に飛び出した。

黒部を左に望むあたりを過ぎると8号線はどんどん内陸に入っていき、家もどんどん増えていく。


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パチンコ店、ガソリンスタンド、DIY、車のディーラー、コンビニ、無人契約機、建設業の臭い、重機のレンタル会社・・・。そんな町を通り越すと周囲はまた田んぼと空地に変わる。金沢に近づくまでそんな風景と平凡な道路で眠くなったりもしたが、気さくな土建業の兄ちゃんが話しかけてきたりして、退屈しのぎになった。

時計が10時近くになると、真夏の太陽が照りつけ渋滞も激しくなってきた。


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退屈なのでときどき彼が自分の前にちょこちょこ出てくる。いつもは前から姿しか見ていないが、後ろから見るとその"旅仕様"のビラーゴになかなか感心する。こんな奴は北海道にはたくさんいるが、地方都市の渋滞の中にはまっているなんてなかなかいない。

人馬一体とはよく言ったものだが、荷物を積んでいる彼のバイクと彼になにか"すばらしいもの"がのりうつっている気がしてしばし見入る。ただ、ずっと見ているとリヤカーに荷物を満載している人と一緒に旅をしている錯覚にどんどん陥ってきた。

金沢を過ぎるころには渋滞もおさまり、順調に流れ出した。


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リヤカー・・・、失礼!ビラーゴもかん高い排気音を残して進んでいく。 あまりの暑さに閉口して近くのDIYに寄って買い物がてら休息をする。ショップに入って気付いたが、この辺の物価は結構安くて品数も豊富にある。

以前問題になっていた政府が発表する住みやすい都道府県のランキングで北陸はかなり上位にいたと思うが、こういの物価の安さも点数の一つになっているのかもしれない。

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今日のキャンプのことを考えて、バーベキュー用のグリルと着火剤を買う。ヘキサウイングのタープが3,980円であったので心が揺れたが、そんなに荷物を積めないんで我慢した。

ビラちゃんはウーロン茶を買ってちょっと飲み、残りを水筒に入れた。「冷たいウーロン茶飲んだのは久しぶりですよ!」そうだね、おれはさっきから冷たいビールが飲みたくて仕方がないんだけど・・。

お互いUVカットの乳液をたっぷり塗ってから出発。
福井に入ると穏やかな山が増えてきて近畿地方に近づいている感じがする。

だんだん道路にアップダウンが増えてきて標識に京都という文字が現れて、ビラちゃんがまた遅れがちになって・・・。

一つの赤信号で彼が引っかかったときに、構わず先に行くことにした。久しぶりの一人の走り。上り坂の登坂車線で一気に10台ぐらいを左から抜いていく。

メーターの針がぐぐーっと上がっていって、隣の車を抜くときにマフラーの音が反響してうなりを上げる。頂上とトンネルの前で登坂車線が終わり、走行車線に滑り込む。ギアを落とすと巨体がブルっと震えてもっと飛ばしたいとダダをこねてるようにように踊った。トンネルを抜けるといきなり視界に若狭湾が広がって潮の香りが立ちこめた。

峠近くの道の駅でビラちゃんを待つこと5分。

エンジン音とともにやって来たのはいいが、ぜんぜんこちらに気付かない・・・。

慌ててエンジンをかけて追いかける。長い下り坂を降りながら、追い越しをかけて彼の4台ほど後ろまで追いついた。ライトを3つ点灯してカーブごとに、合図するのだが全然気付かない。二人で追いかけっこすること数十キロ。道路がゆるやかになったところで彼の横に併走すると、口をポカーンとしていた。

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敦賀のドライブインで休息する。

五木ひろしの資料館などをのぞいた後で遅めの昼食。ぼくはバッテラを買って食べ、彼は持参のカロリーメートを食べた。

休息しながらこれからのルートのことや所持金のことの話をする。今回ぼくは10万ぐらいの現金とカードなど十分な金額があるが、彼はもう7千円ぐらいしかないはず。燃費計算や地方のガソリンの値段の高さなどで大幅に予定が狂っているようだ。

今回1万円で九州に行くというのはみんなに掲げた彼の旅の目玉でもあるので、積極的な援助はせずにご飯のことだけを助けてあげることにする。話し合いのなかで今日は鳥取まで行くことに決まった。

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8号線を離れ敦賀で27号線に入って快調に走る。


ここまでで朝からすでに300キロほどを走っているが、もうビラちゃんはへろへろ状態。ちょっと休みましょうコールがよくかかり、もっと走り続けたいぼくは欲求不満気味でイライラしてきた。

彼もそんな雰囲気を察したのか、途中で勝手に休みますから・・・、と遠慮がちに言い始めた。


このペースで行くととても鳥取までたどり着けないことは分かり切っていたので、鳥取でキャンプする場所を決めて、それぞれのペースで走ることになった。


日本海珍道中  -富山泊編-
日本海珍道中 -さよならビラちゃん-

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